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横山三国志世代から見たキングダム


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去年、キングダムへのはまりっぷりはすごかった。もちろん存在は知っていたものの、たまたま無料配布版を手にとり、大阪出張のホテルで全巻揃っていたのを読み始めたらもう全然止まらない。ほぼ2ヶ月ずっとはまりっぱなし。迷った挙げ句、海外出張でも躊躇なく読める電子書籍版を全部揃えてしまい、52巻で止まっている。いま2巡目だが、登場人物も多く、話もわりと複雑なので、楽しめている。

 

正直ばりばりの横山三国志世代なので、読んだらはまるだろうなとは思ったが、案の定どっぷりはまった。しかし、実際に読んでいると横山三国志とは大きく異なるところがいくつもある。一番大きいのは、戦いの描写が緻密な点だ。

 

比較的低年齢向けの横山三国志は、戦いの描き方がわりとシンプルだ。作戦といっても伏兵がいろんなところ隠されていたり、孔明が考案した秘密の武器が出てきたりといった程度で、基本はキングダムで言うところの武の力に依存してる。孔明曹操が神がかり的な心理作戦で勝利を収めてしまうこともあるし、一騎打ちで勝負がけっこう決まってしまう。一方で、地形や軍の配置、兵の由来、兵站などはあまり考慮されてないように思える。

 

これに対してキングダムは1つの戦いが非常に細かく描かれている。主人公の信が歩兵からスタートし、将に上り詰めていくため、戦いの描き方が現場にいるようにリアルだ。作者がそうだからかわからないが、ゲーム世代だからこそ描けるような戦術眼がそこにはある。もちろん一騎打ちもあるし、勝負の行方はその成否で大きく変わるのだが、ミラクルはない。細かく積み上げた作戦や現場の判断で戦いが刻一刻と変わり、勝利がもたらされる。しかも、どちらかが圧勝というパターンが絶対にない。絶対絶命の危機があり、重要人物は何度も死にかける(壁とか、思いのほか死なないけどw)。

 

一方、両者で共通しているのが、圧倒的な死の軽さだ。兵士の首や胴体はドンドン飛ぶ。とはいえ、マンガらしい描き方なので、過激ではない。小学生が読んでもそれほどグロいとは感じないだろう。描き方で感覚的に近いのは「北斗の拳」。あれくらい理不尽に人が肉塊になると、もはやマンガとして素直に受け入れられるのだ。

 

ともあれ、これからもキングダムが楽しみ。作者は80~100巻くらいと言っているが、完結するときを想像したら、今でも悲しくなってしまうw