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インターバル速歩にはFitbit Inspire HRが最強のお供だった

 日頃から「健康のためなら死ねる!」と公言している健康ヲタクのかみさんが「インターバル速歩やればすべてが解決するらしいから、いいガジェット探してくれない?」という雑なお題を出してきた。ということで、さんざん探した挙げ句、行き着いたのは「Fitbit Inspire HR」だった。昨年1年間お世話になったInspire HRの導入レポートだ。

 

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早歩きとゆっくり歩きを繰り返す「インターバル速歩」とは? 

 織田信長上杉謙信が亡くなったアラフィフにもなると、健康の維持は実に大きなテーマとなる。更年期にさしかかっているかみさんも体のほてりがひどいらしく、同世代の女性が集まるオフィスでは、みんなが扇子であおいでおり、さながらジュリアナ東京のようだという。DXなどどこ吹く風というペーパーワークと非効率な電話の応酬、現場を無視した理不尽なフリーアドレス化で、腰痛や肩こり、目の疲れもひどいと嘆く。そんなかみさんは高校生のときから健康本を読みあさっており、結果として4年前くらいから旦那の私とウォーキングを続けている。

 

 さて、そんな健康オタクのかみさんが「インターバル速歩」に興味を持つきっかけになったのが、信州大学医学部の能勢博特任教授が書いた「ウォーキングの科学」(ブルーバックス)という本である。「10歳若返る本当に効果的な歩き方」を謳うこの本では、スポーツ生理学と7000人のデータを元にジムの筋トレと同じ効果を出せるウォーキングを紹介しており、そこで出てきたのが「インターバル速歩」というメソッドになる。

 

 

 インターバル速歩は、早歩きとゆっくり歩きを交互に繰り返す運動法。インターバルトレーニングというとランニングのイメージが強いが、これはお年寄りでも可能ないわばウォーキングバージョンだ。個人的にはこの手の健康法には興味ないし、効果があるかの検証も本稿のテーマではない。しかし、かみさんの話を総合すると、普段のウォーキングに一定ペースで速歩を組み合わせるだけで、体力や持久力がつくらしい。しかも1週間にトータル60分の有酸素運動で十分。もともとウォーキングは習慣付いているので、3分ごとに速歩すればいいだけなら簡単だ。

 

 さて、インターバル速歩のポイントは、高負荷な運動の休憩にあたる時間も低負荷の運動を続ける点。ウォーキングの科学では3分ごとに早歩き(本では「さっさか歩き」)と「ゆっくり歩き」を5セット続けることが推奨されており、このインターバルタイマーをガジェットで実現できないのか?というのが冒頭のかみさんの依頼である。

 

 実はスマホアプリを使えば、インターバルタイマーは容易に実現できる。ここでのポイントは、厚着のかみさんが意地でもウォーキング中にスマホを持ちたくないという点だ。とはいえ、スマホのアラートやバイブレーションでは気がつきにくいというのも事実なので、確かに腕時計的なものがブルブル震えて、早歩きとゆっくり歩きを変えられるとよい。そんな利用イメージをいただきつつ、ググるよりも先にビッグカメラに実地調査に出かけた。

意外と見当たらないインターバルタイマー付きデバイス 

 さて、5000円くらいでなんとかならないかと思ったが、店員に相談した限り、お手頃価格でインターバルタイマーを持つ歩数計活動量計、トラッカーは存在しないという。対応のスポーツ用腕時計もラインナップとしてはすでに過去のもので、特にタイマーをアラート音ではなく、バイブで知られてくれる腕時計は意外とないようだ。あとは、首からかける陸上競技用の専用タイマーになるが、さすがにウォーキングで使うには気が引ける。


 店頭での調査をあきらめネットでの情報収集にシフト。「インターバルトレーニング」「インターバル歩行」「腕時計」「トラッカー」などのキーワードで出てきたのが、ヘルスケアガジェットの老舗であるFitbit製品だ。グーグルが買収したことで大きな話題となったあのFitbitである。

 

 実は私も2年前からFitbitユーザーで、「Fitbit Inspire」というエントリトラッカーを愛用しているので、その意味では灯台もと暗しであった。なによりカラー液晶搭載のスマートウォッチと違って電池がもつので、ずっと付けていても安心。また、ぽっと出の海外メーカーと異なり、fitbitは日本語対応したアプリがすごくよくできていて、「活動量計のデータ化とはかくあるべき」というくらいマニアックに情報がグラフ化できる。

 

 最新のFitbit製品は大きくInspire、Inspire HR、Charge、AceなどのトラッカーとVersa、Ionicなどのスマートウォッチがあるが、私が使っているInspireはエントリモデルなので、インターバルタイマーのような高度な機能は持っていない。ジョギングやスイミングなど特定の「エキササイズ」を自動認識する機能だけだ。

 

 しかし、心拍測定機能を持つ上位機種の「Inspire HR」であれば、インターバルタイマーを用いたトレーニングが選択できるらしい。Web上のマニュアルまでチェックしたところで、購入を決断。100ドル切る程度の北米での値段からするとかなり高いが、鉄は熱いうちに打った方がよいので、さっそくビックカメラでポチった。

心拍数測定できるInspire HRだからこそできるインターバル速歩

 オーダーした白バンドのInspire HRが正月明けに到着したので、さっそく開封の儀を済ませる。見た目はInspireとまったく同じだが、Inspire HRは心拍数の測定ができるほか、睡眠の詳細なトラック、スマホGPSとの連携、15種類のエキササイズモードに対応する。この15種類のエキササイズモードに、インターバルトレーニングが用意されているはずだ。

 

 まずは付属のケーブルでInspire HRを充電し、Fitbitのアプリをスマホにインストール。Inspire HRとBluetoothのリンクを確立すれば、Inspire HRで収集したデータをアプリと同期することができる。ちなみに私のようにファーウェイの端末を使っているユーザーはうまく同期できなかったり、アプリが落ちたりするらしいが、これはAndroidやファーウェイの電源管理がアプリを制御しているかららしい。Fitbitのアプリ管理をオフに設定し、アプリの「一般」設定の「常時接続」をオンにしておくとよい。

 

 さっそくアプリを見てみると、インターバルトレーニングがあった! メニューをタップすると、「歩きましょう」で早歩きの時間、「休憩しましょう」でゆっくり歩きの時間を設定し、繰り返しの回数も指定できる。

 

 うちでは本に従って早歩きを3分、ゆっくり歩きを3分で設定しておき、これを5回繰り返す合計30分のメニューにした。これをショートカットとして登録しておけば、Inspire HRのメニューから簡単にトレーニングを開始できる。3分ごとにバイブが動作するので、ゆっくり歩きと早歩きを切り替えればよい。

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インターバルトレーニングのメニュー発見したので、3分のインターバルを5セット設定

 さて、実際にインターバルウォーキング開始。今まではゆっくり歩き60分間だったが、半分を早歩きにしたことで、冬でも確実に汗ばむようになった。とはいえ、ジョギングではないので、かみさんもこれなら続けられそうだという。1時間のトレーニング時間が30分に短縮され、夜の忙しい時間が有効に使えるようになった。しかもトレーニング効率が高まったような気がする。

 

 とはいえ、あくまで感覚で判断していたのでは、わざわざデバイスを導入した意味がない。Fitbitのアプリでは、エネルギー消費量や心拍数などをグラフ化してくれるので、トレーニングの実態をより詳細に把握できる。マニュアルを見ると、最大心拍数の5割以下は運動のない状態で、50~69%だと「脂肪燃焼」という負荷の低い運動になる。そして、最大心拍数の70~84%だと「有酸素運動」になり、苦しくない程度に負荷の高い運動になる。

 

 つまり、インターバル速歩をきちんと行なうと、早歩きの「有酸素運動」とゆっくり歩きの「脂肪燃焼」が3分ごと交互に繰り返されるはずだ。とはいえ、現状では「有酸素運動」より「脂肪燃焼」の方が割合が高いので、週60分の有酸素運動を目指し、もう少し早歩きのスピードを上げようと考えている。やはり数値化されると、やる気にも影響が出るものだ。

 

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エクササイズの結果。カロリーはRESTとMOVEが交互に来る
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心拍数やエネルギーも表示できる

 ということで、インターバル速歩のお供としてFitbit Inspire HRはよさそうという結果までは導き出せたと思う。今回は特に触れなかったが、運動のみならず、睡眠もきちんとトラックできるので、健康を意識してこの手のデバイスを購入するユーザーは、多少高くても心拍数測定やトレーニング機能が充実したInspire HRをオススメしたい。ちなみに、夜の早歩きは車に十分注意してほしい。