IOIO

IOのInput&Output

3回目を観に行ってしまったシン・エヴァのラストは三体に似てる?

熱狂的ファンというわけでもないのに、シン・エヴァンゲリオン劇場版を3回目観に行ってしまった。とにかくすごく気に入った映画。いろいろ書きたいことは溜まっていたけど、ようやく終演だ。月並みな感想ばかりだし、エヴァ通でもないけど、いろいろ書かせてほしい。


f:id:flyme:20210720195536j:image

最初に観に行ったときの感想は、やっぱりこれで終わってしまうのかという残念感と、Qからの14年間はやっぱり必要じゃない?という終わることへのささやかな抵抗。話の中身はやっぱりわからなかったので、たっぷりネタバレブログを読んで臨んだ2回目はストーリーもおぼろげに見えたものの、1回目と涙腺ポイントが違っていて、最後のミサトとシンジのやりとりにオイオイ来てしまった。そして薄い本が配布された3回目はアスカの心の平安を祈りつつ、最後の宇多田ヒカルの余韻までたっぷり楽しんだ。「シンジ君はもうなにもしないで」といった拒絶で全体的にヒリヒリしていたQに対して、シン・エヴァは全体的に「ポカポカ」しているので、それも作品をリピートしたくなる理由だったかもしれない。作品の温度感って重要。

 

そして3回目にして、ストーリーがこんなに難しいのになぜ何度見ても楽しめるのか、ようやくわかってきた。やや説明しにくいが、シンエヴァは表層面でのわかりやすいストーリー層と、エヴァシリーズ全体の謎解き層という、二層構造になっているのではないかと。たとえば、第三村で農作業を体験し、普通の人たちと接し、知識と経験を積んでいくレイが、突然シンジの前で消失してしまい、それを契機にシンジが立ち直るという流れは、わかりやすいストーリー層。マニアを熱狂させるためキーワードや設定が仕込まれている謎解きレイヤーを理解しなくても、二人の心理描写は理解できるようになっている。

 

3回観て共通した感想としては、あとはやっぱり男子は「胸の大きなメガネ女子」が好きということw シンジにもてたいか別として、アスカのような承認欲求の強い猟奇的な女子より、どこか心の置き場が見えないレイのような女子より、鼻歌歌いながら絶望的なオペレーションをサクッとやりとげるポジティブ女子の方がヒロインということだ。「君はよくやってる」。結局、彼女はどんなシンジも受け入れるのだ。

 

別の目線では、ちょうど同時期に読み終わった中華SFの三体の最終巻(三体~死神永生~)とラストが似ていたのも印象的だ。またゼロから創り出された世界を、二人で一歩を踏み出すというラストと、主人公がその道を踏み出すパートナーが当初の想定と違う点(エヴァではアスカやレイではなくマリだった)というところが、不思議とよく似ている。読み終えて、なんだかシンエヴァっぽいなあと思っていたら、三体の編者である大森先輩も同じようなことをあとがきで書いていてびっくりした。

 

終演後、8月にはすぐ動画配信されるらしい。気になるセリフ満載なので、また何度も観てしまいそう。素晴らしい映画をありがとう。