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我が青春のアースシェイカー、40周年おめでとう

9月の土曜日にアースシェイカーの40周年ライブに行ってきた。ドラムソロを挟み、2回のアンコールを含めて、ほぼ2時間。最新アルバム「40」の曲やEARTHSHAKER、More、Radio Magicなど懐かしの名曲を織り交ぜて20曲近くを披露してくれた。軽妙なマーシーのMCも楽しめ、充実したライブだった。


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アースシェイカーと言えば、ラウドネス、VOWWOW、44マグナムなどが活躍したジャパメタ(あえてこう言う)創生期のハードロックバンドとしておなじみ。1980年代後半がたぶん黄金期だが、50代の私が中学生当時、最初に聴いたのはちょっと遅めの「オーバーラン」だった。二井原さんのキンキン声が苦手だったので、個人的にはアースシェイカー派。私をメタルの道に導いてくれた中学時代の友人はShiny DayやMoreをいつも口ずさんでいたし、大学時代のサークルでは先輩バンドがいつもMoreを演奏していたので、周りから固められて聴いたような印象がある。

 

今回は、デフレパ&モトリーのライブが高価すぎて萎えていたタイミングで、たまたまライブ広告を目にしたのがきっかけ。正直、初期ベストはきちんと聴いているよくらいのファンだが、名曲を生で聴けるならいいなと思い、いっしょに行けるお父さん友達に、チケットをとってもらった。悲しいかなお父さん友達は、数日前にコロナに罹患してしまい、結局1人でいくことに。場所柄早めにライブを終わらせなければならないため、スタートは夕方。恵比寿ガーデンホールには、同世代のおじさま・おばさま方がいっぱい集まっていた。

 

さて、ライブは時間通りスタート。主要メンバーかなりのお歳のはずなのに、みんな細いし、髪も長髪だし(Radio Magicじゃないが、「オレの長い髪♪」がなかったらシャレにならんw)、うらやましいかぎり。どこかのガンズのアクセルに爪の垢でも飲んで欲しい。で、1曲目のEARTHSHAKERのイントロのギターと歌が聞こえた段階で、もう涙が出てしまった。40年前の名曲がいまこうやって披露され、40年前にこの曲を聴いて胸を焦がしていたメタルキッズたちが、時を経てまた集まっているというだけで胸アツなのである。

 

アースシェイカーの魅力はなんといっても、メロディアスな日本語の歌にこだわったことだと思う。サウンドは完全にハードロックなのだが、マーシーの歌は歌謡曲を思わせるメロディと歌い回し。「ナイフを握りしめた〜」(More)、「怯えたFugitive」(Fugitive)など、ついつい口ずさんでしまうフレーズも素晴らしい。首を振るというより、いっしょに歌うというのが、彼らのライブの楽しみ方と言えるだろう。

 

ちなみに、こういう日本語歌詞にこだわるバンドは珍しく、個人的にはアースシェイカーとアンセムくらいだと思う(アンセムは英語アルバムあるけどね)。今も昔もメタル・ハードロックの世界は、完全に洋楽(というか英語)が主流。洋楽らしさを取り入れつつ、なんだかんだ日本語だったポップ・ロックシーンと異なり、ジャパメタは英語 or 日本語という論争が真剣に繰り返されてきたように思える。特に海外進出を狙う国産バンドは、英語の歌詞も多く、ラウドネスの「Thunder In The East」の成功以来、フラットバッカー(E.Z.O)、VOWWOWなども次々と英語作品を発表した。あのXだって、英語というランゲージバリアーで米国進出できなかったと言われているので、なかなか難しいわけだけど。

 

今回のライブは演奏が大きく、マーシーの声が遠く聞こえたので、そこだけは唯一不満。PAなのか、声量の問題なのか、もう少しきちんと歌聴きたかったなあ。とはいえ、More、Radio Magic、Fugitive、T-o-k-i-o、Come-onなど初期の名曲をシンガロングできてかなり満足だった。40年というベテランバンドなので、演奏もかなりすさまじいレベルで、実はアースシェイカーサウンドの鍵とも言えるキーボードも素晴らしかったし、Fugitiveの最後のギターソロの盛り上がりもよかった。なによりメンバー全員は笑顔一杯でライブを楽しんでいて、会場中にその多幸感が伝播した感じがあった。最後2回目のアンコールは「ありがとう君に」でしっとり締めて、18時過ぎにおしまい。満足そうな聴衆たちは、始まったばかりの恵比寿の夜に散っていった。

 


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ともあれアースシェイカー、40周年おめでとう。ツアーも始まったばかりだし、これからも走り続けてほしい。