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再結成バンドと違ったメガデスのすごみ

伝説になると言われていたメガデスの武道館公演に行ってきた。アリーナのいい席だったこともあり、最高の視聴体験で、至福の90分。事前の予想通り、伝説のライブになった。

 

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往年のメタルキッズたちが、それぞれの想いを持って集まったであろう今回のメガデスのライブ。デイブも60歳だそうだが、気がつけば私も50歳を超え、12000円のチケットでも娯楽で払える歳になった(高いとは思うけどw)。

 

今回のメガデスは、個人的には再会だった。高校時代にミュートマでWake up deadのMVを見て衝撃を受け、So far, So good, SoWhatで友人たちとライブに行き、Rust in Peaceでメガデス愛は最高潮に。しかし、その後のCountdown to Extinctionでなんとなく離れてしまった。オルタナやUKブームの波をもろに受け、大学時代はメタルからもなんとなく距離を置いてしまった。

 

世紀も変わって、私もすっかりおじさんになり、対峙したDystopia、そして最新アルバムThe Sick, The Dying, The Dead。切れのあるアグレッシブなサウンドにすっかり復活を感じて、武道館に臨んだ。だから、再会だ。今回は去年いっしょにPTA役員をやってくれたお父さんがメタル好きで、アリーナのよいチケットをとってくれた。ありがたやありがたや。

 

一曲目のHunger 18が始まった途端、私はあっという間に青春時代に戻ってしまった。Sweating Bullet、Symphony of Destructionなどメガデスから足を洗ったCountdown to Extinctionsはじめ、初期の曲は泣けるくらいカッコいい。ギターも過度に重くなく、メガデスならではの変幻自在なリズムとアンサンブルを体感できる抜けのよい音像。もはや身体が自然に動き出し、歌詞が口をついて出てくる。それくらい当時はヘビロテだった。ゲストで登場してきたマーティのTornade of Soulsのソロに胸を焦がし、最後のPeace SellsとHoly Warsには大興奮した。

 

じゃあ、自分は聞き慣れた昔の曲をもっとやってほしかったのか? 結論から言うと、往年の曲以外もいっさいスキがなかった。自分がまったく聞いてなかったYouthnesiaやRiskの曲も素晴らしかったし、なにしろDystopiaや新譜の曲がなんだか今のメガデスにあっていた。現代版のHunger 18とも言えるDystopiaも、Soldiers On!も、巨大スクリーンに映し出されるアニメビデオと合わせた説得力と迫力が、すごかった。終わったあと、いっしょに行ったお父さんは「むしろPeace Sellsがちょっとタルく感じたかも」と言ってたけど、まさにそう。往年の名曲はもちろんリスペクトするが、それだけではない魅力をドンドン身につけていたのだ。

 

そう、私が長らくメガデスを離れていた間にも、デイブはメガデスをひたすら追求していたんだと。往年の名曲を演奏するためだけの再結成バンドと違うメガデスのすごみを改めて痛感した。モニターに映像が映し出されるビジュアルなステージも、時代の風をきちんと取り込んだ趣向(その代わり、ヘッドバンギングが減ってた気がしたがw)。まさに錆びついてなかったバンドのライブだった。

 

最近はハードロック、ヘビーメタル界も再結成・再始動ブームが沸き起こっているが、新作聴いてガッカリは多い。Def lepardも、Great Whiteも、Skid Rowも全盛期を超えるのはほど遠い内容だった。Helloweenも最近の作品もレベル高いが、Zeppで観たUnitedツアーでは過去の名曲がやはり素晴らし過ぎた。

 

どのバンドも過去の自分たちと戦っている。美化されまくった過去のファンの思い出と戦っている。その点、メガデスはここに来て再度の黄金期の到来だ。すごい。今の今までメガデスを続け、武道館のステージに立ってくれたデイブとそれを支えてくれたメンバーたちに感謝を送りたい。やっぱカッコよったし、またライブ行って、キコがイキイキ弾いてる新曲をもっと聴きたい。

 


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ちなみにここまでは個人の感想。内容に関しては、増田さんの素晴らしいレポートもぜひ読んでほしい。

 

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