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音圧と緊張感が圧巻だった2020年のDoomライブ

高校生のときに好きだったDoomのライブに行ってきた。まさか平成を通り越して、令和の時代にDoomのライブに行けるとは思ってもなかった。

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Doomと言えば、ジャパンスラッシュメタルのまさに最極北な存在だった。いまとなっては信じられないが、当時は三人とも白塗りメイクでキワモノ感満載。同時期に登場したXと同じくキッスの影響だろう(なにせ初ライブのドラムはYOSHIKIだった)。しかし、なにより個性的だったのはさまざまなジャンルを超越した音楽性だ。インディーズ時代はスラッシュ色が強かったが、メジャーデビュー後は完全にジャンルレスのロックとなり、もはや完全にDoomという孤高のジャンルになった。

 

その後、複数のアルバムをフレットレスベースの名手である諸田コウが亡くなり、活動も停滞していたようだが、新メンバーを迎えて五年前に復活したときは驚いた。そして、名古屋でのライブに知り合いが行ったのをFacebookで見て、東京のライブにやってきたというわけ。初めてのDoomライブだ。

 

会場はハードコアやラウド系の多い渋谷のサイクロン。さすがに年齢層高いが、満員に近くて驚く。定刻の6時半に始まり、三人が登場。途中、休憩をはさみ、9時近くまで続いたショーは圧倒的な破壊力だった。

 

そもそもDoomのライブをなんと表現すべきか迷う。エネルギーと緊張感と言えばよいか。元々の曲自体がかなりフリーフォームで、まるで呼吸をするように変拍子と不協和音を多用するので、普通のメタルやロックのような楽しみかたとはちょっと違う。オーソドックスなクラシックロックらしいフレーズが入ってきたかと思うと、いきなりDream TheaterやToolのようなインストパートになり、そこに藤田の咆哮がかぶさる。次の展開がまったく読めない。

 

変幻自在の藤田のギターに加え、諸田に劣らず阿部のフレットレスベースの演奏も凄まじく、切れのいいドラムと相まって、Doom独自の不思議なグルーヴが構成される。曲を意識するのではなく、音圧と緊張感から構成されたグルーヴにただただ身を任せるのが正しい楽しみ方のようだ。

 

いわゆるMCはそれほどなかったが、「いい歳して」いまもがんばってる同期たちに支えられてきたというコメントにはなんだかグッときた。名前が出たのはJurassic Jade、Outrage、United、Casbahなど欧米に負けず劣らず個性的なジャパニーズスラッシュの面々。亡くなった人も、解散したバンドも多いけど、確かにいまも現役のバンドも多い。実際、Outrageのライブは行ったが、素晴らしい演奏だった。もちろん今日のDoomも同じだ。

 

たぶん20曲くらい演奏したと思うが、ほぼ予習しなかったこともあって、曲としてきちんと認識したのはComplicated MindとFall and Rise...くらい。それでも最後までまったく目が離せないライブだった。