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久しぶりのBONNIE PINK、Tonight, the Nightなライブ


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大阪出張の日、大好きなBONNIE PINKがちょうどライブをやるということで、業務終了後にビルボード大阪に行ってきた。

 

ビルボードは立ち見のライブハウスというより、ディナーとお酒を楽しみながら、着座で楽しむ感じ。当然ぼっちの参戦なので、ステージを囲むカウンター席らしきところに通され、ライブを観ることになる。ちなみにステージ前はテーブル席で、カップルたちがディナーを楽しみながら観てる。特にドリンク縛りはないのだが、ジンジャエールを頼んでみる。ともあれ、リラックスムードのショーだ。

 

さて、二部制の前半なので、六時半きっかりにショーがスタート。ピンクと黒が半分ずつというアポロチョコのようなドレスのBONNIE さんとバンドメンバーが拍手を受けて登場。一曲目はスライドギターからのDo you crash ?でちょっと意表をつかれるが、久しぶりのBONNIEさんの声はまったく変わらず、まずは安心。唯一無二の彼女の声が胸に直接響く。

 

今回はシングル曲とアルバム曲のファンからのリクエスト選曲だったので、基本は各アルバムから数曲ずつのベストピックアップ。Heaven's KitchenやEvil and Flowersなどの初期のほか、2000年以降のThinking of you、Tonight, the Night、フューシャフューシャ、一日草、Last Kissなどいい曲いっぱい。本人曰くすでに持ち曲は200曲以上とのことだが、ここまで捨て曲ないのは本当に才能だ。

 

考えてみれば、椎名林檎や宇多田ひかる、MISIACoccoといった個性豊かな女性シンガーが彗星のように現れた90年代後半。決して高音が出るわけでも、刺激的な歌詞を書くわけでも、特定ジャンルに片寄っているわけでもないBONNIE PINKが20年以上も生き残ってこられたのは、稀有なソングライティング能力だと思う。

 

趣味に走るといきなりファンを置き去りにしてしまう女性シンガーソングライターは多いが、BONNIE PINKは安打を打ち続けるイチローのように、高品質なポップミュージックを作り続けてきた。しかも汎用的な旋盤とギターで、恋愛、日常風景、成長など誰しもが掲げるテーマを、既存のJ-POPと違う日本語で歌ってきた。彼女ならではのシルキーな歌声とアコースティック感覚溢れる音作りで。だから長く聞き続けることができる。今回のライブはそんなBONNIEさんの魅力を改めて再認識できた。

 

意外な選曲だったのはBONNIEさんが黒い面と表現してた「Present」。「空っぽなはずなのにどうして、あなたにはささげてしまうんだろ」というサビは、ちょっとホストに貢いでしまう女子みたいでなんか闇を感じるw Catch the sun歌ってる人とは思えない。曲調もマイナーコードのアコギの後ろに裏を刻む16ビートが静かに流れ、ブリッジフレーズは変拍子になるという特徴的な曲。英語詩から日本語詩に移行し、マニアックな北欧系からよりメジャーなポップシンガーに脱皮する過渡期の作品という危うさがむしろ魅力的だった。今は逆に安定感すらある。グルービーな演奏もホントに素敵。

 

さて、結婚を経てChasing the hope以来、7年新譜を出してないBONNIEさんだか、来年こそ新譜出すと宣言。80分くらいのショーは個人的にはとても意外な「流れ星」で終了した。次はGet on the busとか、過去と未来とかも、渋い曲も聞きたいな。そして新譜が出た暁には、フルセットのショーを楽しみたい。とにかくTonight, the Night!なスペシャルな大阪の夜だった。BONNIE、ありがとう!