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若者にもオススメ!美メロでかっこいい1980~90年代ハードロック名盤5選

いよいよ50代に突入した私がまだ若者だった頃に大流行したのが、ハードロック&ヘビーメタル。特に派手な衣装を着飾ったLAメタルは、競争が激しかった分、音楽的にも完成度の高いバンドは多かった。そんなこんなでいま聴いてもムネアツなハードロックのアルバムを5枚選んでみた。テーマは美メロだ。

 

セクシーでブルージーな真夜中のロック「…Twice Shy」(グレイト・ホワイト)

 

LAメタルブームから飛び出したグレイト・ホワイトは、ロバート・プラントを彷彿させる艶のあるジャック・ラッセルズのボーカルとブルースを基調とした曲調が特徴。全米ヒット「Once Bitten」に続くこの「…Twice Shy」は自主制作から数えて5枚目のアルバムで、キャリアでもっとも売れた作品になる。

 

イアン・ハンターのカバー曲である「Once Bitten Twice Shy」が有名で、確かにスタジオ撮影のMVもめちゃくちゃかっこよいのだが、全体から見るとこの曲の軽快さはむしろ浮いているくらい。全体的にはホワイト・スネイクをやや脱力させたようなブルージーなロックで、どれも外れ曲なしだ。

 

個人的にはツーバスでダンサブルなビートを奏でる「Higway Night」、うねるようなグルーブが魅力的な「Mista Bone」、ラッセルズのボーカルが最高に切ない「The Angel Song」がオススメ。全体を聞いた後に、最後のOnce Bitten Twice Shyを聴くと、また印象も変わると思う。音圧よりもメリハリが利いたギターも曲を引き立てている。熱くてクールな真夜中のロックアルバム。

 

...トゥワイス・シャイ

 

アイドルの皮をむいたら骨太でブルージーだった「Long Cold Winter」(シンデレラ)

 

ブルージーつながりでもう1枚紹介するのは、シンデレラの2ndアルバム「Long Cold Winter」。こちらも全米で300万以上売れたヒット作で、ブルーズハードロックの名盤だと思うので紹介する。

 

1stの「Night Songs」はヘアメタルと言われるのにふさわしい、いかにもなアイドルハードロックの作品だった。でも、Long Cold Winterはいきなりボトルネックのブルースギターとハープで度肝を抜かれる。当時は「えっ?これがシンデレラ?」と思ったほど。2曲目の「Gypsy Road」はわりと元気目のハードロックだが、3曲目の「Don't know what you got」はピアノから始まるバラード、4曲目の「Last Mile」は縦乗りのリフと切ない歌メロを合わせ持つ彼らならではの1曲。このあとも、ブルージーさ極まる「Long Cold Winter」、郷愁のアコースティック曲「Coming Home」など、どの曲もタイプが違うのに、きっちりシンデレラだ。

 

トム・キーファーの声はハスキー。ジャック・ラッセル(グレイトホワイト)のような艶のある声でも、マイケル・スイート(ストライパー)のようなハイトーンでもない。ロック調な曲だとAC/DCっぽいが、ブルージーな曲はまるでジャニスが乗り移ったのではないかという味のある歌唱を見せる(特にLong Cold Winter)。ギターも早弾きなどはほぼなく、味のあるチョーキングで歌の間を埋めていく感じ。ゲイリームーアのような先人と比べても、十分に張るようなギタープレイが最高だ。

 

次作の「Heartbreack Station」はさらにブルージーになるのだが、ロック要素はずいぶん後退してしまい、個人的にはこのアルバムくらいのさじ加減がちょうどよかった。もちなみに先ほど調べたらすごく熱いレビューが出ていた。内容は全面賛成なので、ぜひこちらも読んでほしい。再結成ライブしてくれないかなあ。

 

mymusicforlife.com

突き抜けるハイトーンと美メロに酔う「INTUITION」(TNT

 

北欧HRの名盤とも言えるTNTのINTUITONは、トニー・ハーレルのハイトーンボーカルとポップさが売り。賛美歌のような「A Nation Free」から、グルービーなリフとリズムがかっこいい「Caught Between The Tigers」、これぞTNTというコーラスの美しい3曲目「Tonight I'm Falling」、落ち着いたバラードの「End of the Line」、そしてポップさ弾ける「Intuition」までとにかくA面が最強。

 

突き抜けるハイトーンと美メロ&コーラスが聞いていて気持ちいい。ギタープレイが相当トリッキーで、ちょっとやり過ぎな感じもするが、これこそTNTという気もするのが不思議。37分という尺にハードロックの魅力を詰め込んだ名盤。今聞いても思わず口ずさむ名曲ばかり。

インテュイション

インテュイション

  • アーティスト:TNT
  • ユニバーサル インターナショナル
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パワフルな演奏と美コーラスを堪能できる「To Hell With The Devil」(ストライパー)

 

黄色と黒の衣装をまとったクリスチャンバンドとしておなじみストライパー。見た目からすると虎きちなイロモノだが、実像は美メロとコーラスが売りの正統派ハードロックバンドである。聴かないのはもったいない。取り上げたのは、代表作である「To Hell With The Devil」だ。

 

不穏さを感じるインストの「Abyss」からツインギターとパワフルな演奏がカッコいい「To Hell With The Devil」、これぞストライパーという美メロ美コーラス美ツインが詰め込まれた「Calling On You」「Free」まで、ずっと口ずさんでいたい名曲が凝縮されている。ハードロック屈指とも言えるこの流れは圧倒的だ。

 

ストライパーのすごいのは極上のポップスとして成り立ちそうなひたすらメロディアスな曲を、パワフルなハードロックで再現してしまったところ。マイケル・スイートのハイトーンボーカルの歌を中心として、演奏とコーラスはつねに引き立て役。しかし、どれも不足がないバランスを保っている。美しいバラードの「Honesty」やギターリフがカッコいい「The Way」など、曲のバリエーションも豊か。ハードロックって、やっぱり歌だよねという人に聞いて欲しいアルバム。

To Hell With the Devil

To Hell With the Devil

  • アーティスト:Stryper
  • Hollywood
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「Back For The Attack」(ドッケン)

 

美メロ&すごテクなギターと言えば、やはりドッケンは外せない。1987年に発売された「Back For The Attack」は、1曲目の「Kiss of Death」の名リフとソロでとにかくガツンと来る。ポップなメロディとコーラスが最高な「Burning Like a Flame」や「Dream Warriors」、不気味な雰囲気とさびが印象的な「Heaven Sent」、意外に手堅いバックの演奏力もわかる「Mr.Scary」など、とにかくかっこいい曲ばかり。勢いのある「Tooth&Nail」も好きだけど、完成度からするとこちらかな。

 

ギターキッズのあこがれだったジョージ・リンチの派手さと影を合わせ持つギタープレイとドン・ドッケンの艶のある歌いっぷりもあわせて、ホント全盛期だからこそできた奇跡のアルバムだと思う。ドッケンもなんだかグレイトホワイトと同じく夜のロックなイメージある。

Back for the Attack

Back for the Attack

  • アーティスト:Dokken
  • Rock Candy
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ということで、若者にも聞いて欲しい1980~90年代ハードロックの名盤を5枚選んでみた。もちろん、ラットやモトリー、デフレパはないのかという声もあると思うので、ぜひみなさんの5枚も教えて欲しい。