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Road of Resistanceは受験生の曲~娘の中学受験を振り返る~

先日2月1日、家路までの最寄り駅で、おばあちゃんとお父さん、リュックを背負った小学生くらいの女の子がハイタッチしているのを見て、そうか中学受験かと思い当たった。ちょうど1年前、うちの娘もこの子と同じように入学試験を受け、合格し、今の私立中学校に入ったのだ。1年経って、ようやく落ち着いてきたこともあるので、娘の中学受験を振り返ってみようと思う。

 


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徹頭徹尾いびつだった娘の私立中学受験

 

そもそも娘の受験は両親が受験自体に反対し、祖父母と娘がそれを押し切って進めたという点で徹頭徹尾いびつな形だった。

 

もともと娘は勉強が得意なわけではなく、私立中学にあこがれを抱いていた訳でもない。おまけにコツコツ努力することが嫌いなので、習い事も勉強も続かない。幼稚園からやってきたダンスも公文も、結局かみさんに半ば強制的に辞めさせられた。宿題も、練習もまったくやらないので、かみさんも結局堪忍袋の緒が切れたのだ。

 

そんな娘なので、われわれ夫婦も普通に公立中に行くと思っていた。神奈川出身の私、埼玉出身のかみさんともに公立中学校・高校の出身で、私立はお金がかかるので、最初から眼中になかった。そんな中、学費を出すという条件で、娘に中高一貫校を受験させるのはどうかと提案してきたのは、ほかならぬ私の両親である。両親が行かせたかったのは、美大系附属の中高一貫校(実はこれだけで学校はほぼ特定できてしまう)で、うちの母が行った中学校でもある。しかも、娘は話を聞いたり、カタログとかを見せられてすっかり盛り上がってしまったのだ。

 

当初、あの手この手で受験させようと説得してくる両親に対し、私は「娘に受験は向かない」と何度も突っぱねた。しかし、塾や合格後の学費負担のほか、高校受験が必要なくなるのはなにより魅力的だった。かみさんとも相談し、「まあ、受けさせるだけならいいか」と進学塾を受けさせ、受験させることにしたのである。これが娘の4年生の頃だ。

 

やるやる詐欺と言われていた受験勉強で夫婦も両親ともけんか

 

4年生から行ったのは駅前の進学塾で、マンツーマンで算数と国語を教えてもらっていた。受験する私立中学校は、いわゆる進学校というわけではなく、偏差値もそれほど高くなかったが、日々の勉強について行くのも精一杯な娘に塾の勉強は難しすぎた。受験していること自体にスペシャル感があるので、塾に行くのをまったくいやがらないというのが、娘のなんとも奇特なところなのだが、宿題はやらないから、どんどん溜まってしまう。塾も正直、進学校への合格の方が親の評価につながるため、娘を熱心に教えているわけではなかった。授業はきちんと受け、評価もそれなりに高いのに、模試は全然ダメという自体が正直、小6間近まで続いた。

 

この間、大変だったのはわれわれ夫婦だ。公文も、ダンスも辞めさせたくらいなので、かみさんは中途半端が大嫌い。当時は弟が小さかったため、かみさんが家にいるので、勉強をやらせるのはかみさんになる。自分で決めた受験なのに、宿題もやらず、模試もダメという娘の塾を続けさせるのはどうしても納得いかないのだ。しかも「自身はこんなに親にお金出してもらったことなんてなかった」みたいなコンプレックスもあるので、なおさら受験をあきらめようと娘や私、うちの両親に働きかける。最終的に私が受験させることを決めた経緯もあるので、かみさんとは本当によくけんかした。当然、帰省するたびに「うちの娘がどれだけ受験をなめているか」「受験なんてやっても疲弊するだけ」と話すことになるので、当然うちの両親との関係も悪くなる。何度けんかになったか覚えていない。

 

これで娘がやっぱりあきらめると言ってくれれば、話は早かったのだが、勉強はしないくせに、受験をあきらめず、塾に通い続ける。「勉強やるやる詐欺だよね」と母親に言われつつ、娘は塾に行き続ける。公文も、ダンスも辞めたわりには、受験に関しては完全に根負けである。こっちも「どうせ落ちるんだから、最後までやれ」という気分になってくる。受験の1年前になっても、赤本どころか、受験問題にまでまったくたどり着かず、受ける前から無理ゲー状態だった。「リアル下克上受験」というか、単にチャレンジしたけど、やっぱりダメだったねという話だ。

 

プレジデントな受験生の親じゃなくても合格できた

さすがに夏休みに入ったらエンジンもかかるかと思いきや、やっぱり勉強は進まなかった。夏期講習も受けたんだけどね。中学受験の算数は完全に小学校の学習内容とは異なる特殊なものなので、すでに親ですら教えられない。学校説明会にも行ったし、塾以外の問題集も買ったけど、正直プレジデントな受験生の親になれなかった。娘には申し訳ないが、やる気が見えない受験生の応援ができるほど余裕はないのだ。

 

ただ、ここまで来ると、もう止めようという話にはならず、とりあえずがんばれという感じ。ラッキーだったのは6年生のときに塾の先生が変わり、合格できるようにポイントをしぼって学習させてくれるようになったこと。あとから考えると、これが合格した最大の理由かもしれない。進学校ではないけど、きちんとフォローしてくれるようになったし、親が言わなくとも、夜中まで勉強するようになった。やっぱ進学塾ってすごい。

 

土曜日に通っていたプールを辞め、赤本も本格的にやるようになってきた。落ちても公立に行けばよいという安心感があり、しかも1校しか受けないので、その学校の赤本に集中すればよい。競争率も進学校に比べて高くなく、6割半できていればほぼ合格というのはわかっているし、塾の先生まで大丈夫とか言い出した。なんとなくいけるんじゃないかという妙な安心感が出てきてしまったのだ。

 

で、2月1日の当日。なにより健康な状態で送り出せてよかった。自分が受験生だった頃と違い、最近の受験はすぐに結果が出てしまう。当日、19時半に発表された合格発表のPDFをiPadで開いて、受験番号が見つかったときの興奮はやっぱり忘れない。

 

結局、娘のRoad of Resitanceだったのか?

そろそろタイトルを回収しに行こう。

 

Road of Resitanceはご存じBABYMETALの2枚目「METAL RESISTANCE」のトップを飾る曲。娘の合格に沸いた次の日、会社から帰る家路で「君が信じるなら、進め、道なき道でも」というSU-METALの声を聴いたら、なんだかこれが受験だった娘のための曲に聞こえてきたのだ。

 

Road of Resitanceの歌詞

http://j-lyric.net/artist/a056877/l03a42a.html

 

そしてResistanceとは、年齢以上の難問に挑まなければならない中学受験という壁であり、自らの実力をまったく信じなかった両親や前年度までの塾の先生への反抗だったのかもしれない。もちろん、本人にそんな自覚はないだろう。しかし、ずっと無理だとあきらめていた親を差し置いて、娘は第3コーナーで一気にまくって、自らの実力で行きたい中学校に合格してしまったのだ。フルスイングなんぞせず、あっけないくらいあっさりと。

 

そして、そんな娘は1時間かけて電車で中学校に通っている。受験のために10代を完全消費してしまった自分としてはなんともうらやましい。自分に近いオタク属性の高いお友達に囲まれ、毎日本当に楽しいそうだ。