IOIO

IOのInput&Output

都会人のためのタケノコの下処理講座(おおげさ)

富山に住むかみさんの友人からタケノコとわらびが送られてきた!なにしろ山を所有しているので、この時期はタケノコ取り放題なんだそう。

 

とはいえ、普段スーパーで水煮を買ってくるのに慣れてる都会人からすると、生のタケノコの下処理は敷居が高い。実は2年前もやっていたのだが、完全に忘れていたので、今度こそメモっておくことにする。ちなみにタイトルに講座とあるが、実際は手順やノウハウではなく単なるコラムになっている。


f:id:flyme:20220507113821j:image

 

前提として、多くの人は「タケノコ 下処理」なんてググれば済むと思うだろう。実際その通りで、クックパッドやクラシル、デリッシュキッチンなどのレシピサイトには丁寧な下処理の仕方が書いてある。

 

まとめると

・基本、皮付きで長時間茹でる

・上部は斜めにカット。本体に切れ目入れる

・灰汁をぬくため、米ぬかと唐辛子いれる

・ゆでたら放置。水煮として料理に

という感じだ。柔らかくするというより、エグみを抜くのが主目的のようだ。

 

確か前回もこのやり方で美味しくいただいた。ただし、手間がめちゃくちゃかかった。しかし、今回は個数とボリュームが多いということもあり、いくつか疑問が湧き上がる。

・そもそも大きすぎて、うちで最大のパスタ鍋に入らない

・何回かに分けてゆでたら何回やるのか?

・米ぬか、唐辛子やっぱり必要?

などなどだ。最大のやつは巨大過ぎるので、たぶんゆで時間は2時間ではきかないはず。ガスのコストと火の番にかかる時間を考えれば、忙しい都会人にとって、どう考えても無理がある。

 

ということで、送り元の富山県民に聞いたら、「面倒くさいから、皮むいて、適当な大きさに切って、茹でとるよ」とのこと。先ほど忙しい都会人とかマウントとってしまったが、田舎の人のほうがはるかに合理的だったw 

 

下処理に関しては、実はもう一つ米ぬか問題がある。実は米ぬかって意外にスーパーにない。あるのは、漬物用のぬか床や米ぬかを炒ったいりぬかだ。これらは漬物用なので、塩などが入っていて、今回の用途には適していないらしい。少なくとも前回、さんざんググって、結果いりぬかを買ったのだが、大きいサイズしかなく、こんなに使えるわけないじゃんとかみさんからクレーム来たのをいりぬか買ってから思い出した。人は悲しいくらい、忘れていく生き物……。で、先日スーパーに行ったら、タケノコの横に小さいサイズの米ぬか発見。早く言ってよー。ちなみに富山は米ぬかの入手性に関してはまったく問題ないとのこと。

f:id:flyme:20220510225328j:image

ということで、面倒くさがりの富山県民のやり方ということで、皮むいて、切って、茹でてみることに。

f:id:flyme:20220507120657j:image

皮のついたタケノコを扱ったことある人ならわかるが、実はかなりの部分が皮。ミイラ状のタケノコをむいてみると実体はかなり小さい。皮をつけて茹でるというのは、ほぼ捨ててしまう皮を茹でてるように思える。

 

もちろん皮付きで茹でるのはうま味を流出させないため。では、果たして味の違いはわかるのか? 今度は鍋に入る中くらいのタケノコは皮付きで茹でてみた。f:id:flyme:20220507195240j:image

さっそく試食したが、うん、変わらない!少なくとも、オレは味の違いわからないw ということで、原理主義者じゃない限りは大きいのはフツーに皮むいて、切って、茹でてオッケーだと思う。

f:id:flyme:20220509215852j:image

今回はチンジャオロース、グリーンカレー、たけのこご飯、土佐煮、たけのこきんぴらなど、さまざまな料理になった。おいしいタケノコで春を楽しみましょう。次はもう少し少量で、お願いしようかなw

f:id:flyme:20220509215302j:image

 

 

遡る恋の思い出が胸を締め付ける「ちょっと思い出しただけ」

「ミステリーと言う勿れ」の風呂光さん役ですっかりファンになってしまった伊藤沙莉。なんといってもあのハスキー声でタメ口きかれるとかたまらない!そんな伊藤沙莉は演技派で、正直ミステリーと言う勿れでは宝の持ち腐れらしい。ということで、FB友達の激烈なオススメもあって、彼女が主人公の「ちょっと思い出しただけ」を映画館で観てきた。いやあ、よかった。

 


f:id:flyme:20220418091721j:image

公式Twitterより引用

 

以下、ネタバレ含みます。

 

話は伊藤沙莉演じるタクシードライバーの葉と足の怪我でダンサーの道を諦めた照生(池松壮亮)の現在からスタート。現在とはオリンピックを開催したあと、コロナ禍の2021年。二人が出会い、付き合い始め、愛し合い、怪我を経て、別れて、立ち直るまでの6年を巻き戻して再生する構成だ。

 

再生されるのは毎年の照生の誕生日で、照生の部屋の自動カレンダーが日付と時刻を示している。巻き戻しなので、二人がすでに別れてる状態からスタートし、恋のダイジェストを楽しかった過去に向けて振り返っていくというのが、すでに切ない。

 

2時間近くに渡って映像化されているのは、二人の何気ない日常。会話が恐ろしく自然体なので、まるで隠し撮りしてるのではないかと思うくらい。乗り切れない合コンの空気、噛み合わないタクシーの中の別れの会話、なんとなく夜に二人で溶けて行きたくなるような恋の予感。二人にしかわからない会話の中身も、物語が進み、過去に遡れば意味がわかってくる。恋のライバルが登場するわけでも、裏切りがあるわけでもない。淡々と、でもかけがえのない時間を丁寧に描いていく。

 

それぞれの誕生日はおおむね照生が朝起きるところから始まる。同じ日付、同じ夏の日で風景は変わらないのに、照生の行動や心理は毎年違う。足を怪我したときは、ネコにエサをあげなかったのに、ダンサーを諦め照明係として腹をくくってからはエサをあげる日常が戻っている。誕生日だからケーキが出てくるのだが、毎年意味合いが違う。そしていつも通る近所の公園には、毎年その日に奥さんを待ち続ける永瀬正敏。まさに愛だろ、愛って感じ。

 

演技も脚本も良いが、映り込む東京の風景も、グレープバインの音楽も素敵。すべてが噛み合ってる。でも物語の中の二人は噛み合わなくなっていく。吹っ切れないのは、やっぱり男の方かなという感想。ラストを観ると、まさに「ちょっと思い出しただけ」というタイトルに納得がいくし、実際にタイトルが出るのは最後だ。

 

コロナ禍だからこそ、以前はノーマルだったコミュニケーションを懐かしむ意味でもいい映画だった。過去の「たら・れば」を思い出してしまうので、パートナーがいても、この映画は一人で観るのオススメ。

 

才色兼備な高円寺MANTRAのカレーは見た目も副菜も胸躍る

このSNS時代、スパイスカレーは見た目も重要だが、見た目だけでもダメだよね。高円寺MANTRAのカレーは、見た目も、味も最高な才色兼備なカレーだ。


f:id:flyme:20220305135220j:image

今日はPTAの会合があったので、久しぶりにMANTRAに寄っていくことにした。高円寺駅から歩いて3分くらいの線路下にあるカウンター店。頼んだのは2種盛りで、キーマとグリーンカレー。辛さを抑えたマイルドなルーにスパイスが混ざり、飽きの来ない味。

 

ここはカレーもおいしいのだが、副菜に力が入っている。以前来たときに衝撃を受けた桃味のトマトのほか、ほうれん草、モヤシ、赤キャベツのおかず。揚げパンに、エビ揚げ春巻きまでトッピングしてしまったので、お皿がえらく豪華なことにw お皿もキレイすねー。あー毎日食べたいわ。

 

コロナ禍で大変かもしれないけど、がんばってほしい!また来る。

 

 

軽くて安くて機能的に十分なAndroid端末「OPPO A73」を購入

さて、スマホを買い換えました。買い換えたのは2年前に発売された「OPPO A73」です。最新機種ではないのですが、軽くて、安くて、機能的にも大満足でした。レビューはネットにいっぱいあるので、移行記と使用感をお伝えします。ちなみにカメラの使い勝手とか、ベンチマークとか、そんなの全然ないよw


f:id:flyme:20220213192222j:image

 

優秀なファーウェイのP20 LiteユーザーがOPPO 73に行き着いたわけ

 

IIJ MIOで3年近く使っていた移行元の端末は、米国による制裁以前に購入したファーウェイの「P20 Lite」。それ以前は富士通の「arrows M02」だったのですが、動作が異常にもっさりしていてとにかくいい思い出がない。あまりのもっさり感に業をにやして買ったP20 Liteは、家族でまとめて購入するのに安かったからという理由だけだったのですが、本当に優秀な端末でした。軽いし、さくさく動くし、動作も安定してた。指紋も顔認証も便利。2万円代の端末でこんなコスパいいの?と、このとき(富士通を念頭に)国産信仰は霧散しました。米国の経済制裁Googleが使えないなんてことがなければ、正直またファーウェイ端末にしていたと思います。

 

そんな優秀なファーウェイ端末でしたが、今回切り替えに至ったのはストレージの不足。やはり3年前の32GBというストレージではどうしても足らず。もちろん、SDカードを追加すればいいじゃんという話なのですが、写真や動画をSDカードに納めても、OSやアプリの容量的にどうしても内部ストレージが足りなくなるのです。

 

もちろん、余計なデータを削除したり、アプリを消したりしてきたのですが、もはや限界。あと、Fitbitの同期がビミョーにうまくいかず、再起動しないと最新データが見られないというのもストレスでした。ということで、TVドラマの間に大量投入されたGalaxyのTVCMに感化され、新機種の購入を検討した結果、いきついたのが軽くて安くて機能的に十分なOPPO A73になります。

 

www.oppo.com

 

スマホは液晶割れも多いし、定期的に買い換えるものだと思っているので、候補は価格2~3万円の格安スマホです。確かにGalaxyかっこいいけど、高価な端末がほしいだけではない。そして、一番決め手になったのは実は軽さ。なにしろ長らく慣れ親しんで使ってきたP20 Liteって、145gしかないんです。だから、あんまり重いのは無理。落としちゃいそうで。

 

で、やっぱり軽いのがいいなーと思ってIIJ MIOのサプライサイトで動作確認済み端末を見ていたのですが、最近は180~200g超える端末だらけなんですよねー。同じ端末を使っている高校生の娘に聞いたら、確かに友達の端末(おもにiPhone)はバカ重いとのことw

 

個人的には前述の通り国産端末に心底失望しているので、シャオミ(Xiaomi)のremid 9Tとか、Motorola e7 powerとかが気になったのですが、重さが200g近くてあきらめました。Xiaomi Mi 11 Lite 5Gも5Gスマホデビューでよさそうだったんですが、まだ新しい機種なので価格が倍近くするんですよね。ということで、OPPO A73です。まあ、P20 Liteの軽さにはかなわないけど、162gならまあ妥当。価格も2万円以下。実際、久しぶりにカカクコムで調べたら、底値だと新品でも1万5000円切るのね。

 

Android同士なら移行は簡単 LINEのトーク履歴も引き継げる

 

デイーライズさんで送料込み14435円。翌日には端末がやってきました。早くてすごい。シンプルなパッケージに、端末本体、Type-Cケーブル、電源アダプタ、イヤフォンが入ってました。

 

さっそくP20 LiteからA73へのデータ移行をやったけど、Googleバックアップ(移行元できちんとセットアップしておいてね)とPhone Cloneを使ってスピーディにできました(アフィリエイトじゃないよw)。Phone Cloneは移行先にもインストールしておき、古いデバイスQRコードを読み込むという方法で端末同士を特定するらしい。

 


f:id:flyme:20220213192410j:image

 

一点だけ、注意はLINEのデータ移行。移行元のLINEで「設定」-「アカウント引き継ぎ」でオンにしないとダメ。また、「設定」から「トーク」を開いて「トーク履歴のバックアップ・復元」を開いてGoogleドライブにバックアップすることができる。移行先のLINEでこれを取り込めば、トーク履歴も引き継げます。

 

 

ともあれ、スピーディにデータ移行できました。あとは新端末でのログイン地獄だけど、ここでもGoogleアカウントがけっこうID・PWを覚えていてくれたので楽でした。セキュリティ面ではよくないのかもしれないですが、クラウドにアカウント管理を任せるのは楽です。

 

さて、半日かからず移行できたA73ですが、まずは予想通り軽くてよかった。薄いし、背面の皮っぽい処理が素敵だ(まあ、プラスチックだけどね)。実際に使わないとわからないパフォーマンスも問題なし。もともと使っていたのが高性能スマホというわけではないので、動作はまったく不満を感じない。


f:id:flyme:20220213192426j:image

 

ファーウェイ端末と比べた違いは、①右側にあったボリュームボタンが左側にある、②「戻る」ボタンが右側に配置(ファーウェイは左側)、③指紋認証は画面上でできるといった感じ。とにかく同じAndroidだけど、ファーウェイとOPPOOPPOはColorOSというらしい)ではけっこうカスタマイズされているのねーという感想。たとえば、デフォルトだとメイン画面に置けるアイコンが4×4なので、5×4にするのは設定のけっこう奥までいじらないといけないみたい。別のレビューでは、めちゃけなしてたけど、これは慣れるかなと。

 

ともあれまだ2日ですが、快適に使っていますー。

アラフィフのおじさんがヒプノシスマイクにはまるわけ

年末のクリスマスプレゼントとして子供たちにヒプノシスマイクのライブBlu-ray(2万円近くした!)を買ったのだが、子供といっしょに観ていたら、アラフィフの自分もはまってしまったw

 

 

理由はシンプルで、音楽がよいから。ラップもどっぷりというわけではないけど、高校のときにアレステッドデベロップメントとビースティ・ボーイズに衝撃を受けた口。その後のオルタナティブブームではレッチリリンキンパークなどにもどっぷりはまったというバックグラウンドだ。ギャングスター系はむしろ苦手で、エミネムにもまったく不感症だった私がヒプノシスマイクに違和感なくなじんだのも、曲のオルタナ要素強いからだと思う。まあ、Small circle of friendsとか、Tokyo No.1 Soulsetとか利いていたので、日本語ラップへの違和感もなかったしね。

 

オルタナ&メタルバンドとラップのコラボ作として有名な「Judgement Night」のサントラを聴いたことある人いるだろうか? たとえば、ヒプマイの代表作でもある「dividion battle anthem」なんて、バックの演奏はまさにあれだ。轟音のギターフレーズに、ラップが重なってくるやつだ。同じく代表作の「Showdown」もサビのところとか、とてもリンキンパークを思い出すんだよね。

 

ということで、アラフィフのおじさんにもヒプマイはなじみやすい。ライブBlu-rayはみんな声優と思えない熱演で、すっかりファン。特にYOKOHAMA WALKINと開眼は何度聴いても鳥肌だし、最後のSummit of Divisionは神曲!ぜひ観てほしい。

2021年の買い物(日常編)テレワーク生活を快適にしてくれたグッズ

書籍編に続いて、2021年の買い物の日常編メモ。昨年からずっとテレワークだったので、やはりテレワークを快適にするグッズに偏ってしまった。とはいえ、そんなにお買い物してないんだけど。

 

・公式テレワークウェア「アクティブジョガーパンツ」(ユニクロ

今年、大活躍したのはユニクロのアクティブジョガーパンツ。テレワークになって外出が極端に減ったため、いわゆる楽チンなワンマイルウェアを重宝するようになった。このジョガーパンツパンツは細身で、ウルトラストレッチなのでお腹も楽。薄手の生地で夏も涼しい。色にも寄るのだが、いかにもスウェットという感じでもないため、近所のお買い物も問題なし。私の公式テレワークウェア。ただ薄いので、冬は寒い。冬版の厚めのやつがほしい。

 

www.uniqlo.com

骨伝導&ワイヤレスでやっぱり最強な「Aftershokz Opencomm」

続いてもテレワークのお供として活躍したAftershokz Opencomm。骨伝導のワイヤレスヘッドフォンで、まわりの評価がやたら高かったので、バーゲン時にふらっと買ってしまった。とにかく軽量で頭にフィットする設計なので、長時間でも疲れない。バッテリーももつし、ボタン操作もわかりやすい。ただヘッドセットモードだと音が刺さるような感じで、結局は普段のPowerconfを有線接続で使っていることか多いんですよね。最近、AftershokzからShokzになったようですよ。

 

 

・声でエアコンつけられるのがとても便利な「Nature remo mini」

在宅で便利なのが、スマートリモコンの「Nature remo mini」。スマホスマートスピーカーから赤外線リモコンをコントロールできるデバイスだが、たまたまキャンペーン価格で旧機種を購入できた。とりあえずリモコン操作できるテレビ、スピーカー、エアコンを登録してみたが、Alexaから声で操作できるのはやはり便利。寝室から呼びかければ暖房付けられるので、朝の寒いときはありがたい。最近はオートメーション機能を使って、スケジュール登録して暖房をつけるようにしている。スマホアプリもよくできていて、ITスキルに自信のないユーザーでも簡単に使えると思う。お手頃でコスパもよい。

 

・定期代のなくなった私にぴったりのSuica対応「Fitbit Charge 4」

Suica対応のスマートウォッチは以前から欲しかったのだが、以前はSuica定期対応の製品はAppleWatchしかなかった(当方、非iPhoneユーザー)。Suica定期に対応してないと、結局カードの定期と2枚持ちになってしまうため、あきらめていた。しかし、全面テレワークに移行した関係で、出社のために定期代の支給がなくなり、交通費はすべて都度実費精算に(まさか定期の方がなくなるとはw)。ソニーのwena 3にしようと思っていたところに登場したのが、こちらのFitbit Charge 4のSuica対応バージョン。wena 3は高いし、バンドだし、評判もイマイチだったので、速攻でこちらを購入。モノクロバッテリなのでバッテリも持つし、Suicaはやっぱり最強だし、アプリもよくできているので、かなり満足。1年近く使ってるのだが、モノクロディスプレイのシンプルなトラッカーなので正直面白みに欠けるのは事実なんだよねー。

 

さて、2022年はなにを買おうかしら。最近はデュアルディスプレイが気になってるんだよねー。

2021年の買い物(書籍編)どこまでも奥深い中国とドイツの歴史に触れる

今年はまったのはなんといっても浅田次郎の「蒼穹の昴」シリーズ。アヘン戦争太平天国の乱、義和団の乱などダイナミックな清王朝の終焉を追う。数奇な運命に翻弄される主要登場人物たちの物語は、涙なしに読めない。

そして新しいチャレンジが大木毅の独ソ戦」から始まるドイツシリーズ。「ベルリンは晴れているか」でベルリン戦に興味を持ち、背景知識を補うために読んだが、人類の愚行を振り替える歴史書としても、大量破壊兵器登場以前の軍記としても興味深い内容。実際子供を眼医者に連れていった待合室でほぼ読んでしまった。ヒトラーにすべてを押し付ける既存の二次大戦史観を大きくくつがえす意欲作。呉座さんの「応仁の乱」の40万部は正直全然理解できないけどw、こっちの13万部は理解できる。殲滅戦争の悲惨さを学びつつ、軍記としても一気に読める珍しい新書。

須賀しのぶの「革命前夜」は、社会主義国家時代の東ドイツ(むこうでは東ドイツとは言わないのでDDR)に渡った若きピアニストの成長を描く。青春物語でありながら、ミステリーでもあり、歴史小説でもある。ベルリンの壁崩壊前の東ドイツについてほぼ知識がなかったけど、社会にここまで密告と音楽が根付いていたのね。なにより仕事が保証されている社会主義国家なので、離婚しても女性は生活に困らなかったという話も面白かった。恋愛、友情、そして裏切りが胸に刺さるストーリー自体も骨太なのだが、なにより小説が苦手とする演奏の描写が素晴らしい。これ読んでバッハのビアノ曲がとても味わい深くなった。ドイツ好き、クラシックファンは間違いなく楽しめると思う。これまでまったく知識がなかった東ドイツ共産国家時代とクラシックとの強い関係を知ることができた。須賀さんの本は別の作品も読んでみたい。

一番よかったのは機龍警察シリーズの最新刊「白骨街道」。前作の龍眼殺手は機龍警察の魅力の一つである戦闘兵器の機龍兵が出てこないという驚き展開だったが、今回は舞台がミャンマーということで、武装勢力を相手にした機龍兵同士の大迫力バトルも展開され大満足。一方で物語の背景となるミャンマー情勢が地政学的にものすごく根深いことを痛感する。もちろん骨太な組織間の陰謀戦も健在で、今回はこいつは絶対敵に回したくないよなーみたいな登場人物がまさかの敵でビックリ。攻殻機動隊パトレイバーボトムズの世界観で佐々木譲がガチ警察小説を書いてるような感じなので、気になった人はシリーズ最初からぜひ!まったく妥協ない最新作だった。

ベストだと思っていたこの一冊を抜きそうなのが、アガサクリスティ賞を獲得した「同士少女よ、敵を撃て」。凄惨を極めた独ソ戦の最中、狙撃兵として戦場をかけめぐる少女が失い、そして得たものは?アガサクリスティ賞の「同士少女よ、敵を撃て」、年越しでようやく読み終わったけど、いやあ面白かった!主人公が戦いに身を投じるまでの流れは鬼滅の刃進撃の巨人のような王道イントロだが、人間性を失わせる過酷な戦場描写、ゴルゴ13のようなスナイパー同士の息を飲むような一騎討ち、そして個性豊かなキャラクターのそれぞれの生きざまと決断まで、新人とは思えない精密さと表現力。そして結末は予想を大きく裏切ってきた!脳内BGMはロシアが舞台ということで、歌詞的にもS.A.Cの「rise」(実際、オリガという登場人物も出てくる)がピッタリでしょう。やっぱハヤカワすごいなー!

来年もいろいろ読みたいー!